私がkintoneの導入支援をさせていただいた企業で、介護施設を運営されている会社様がいらっしゃいます。
有料老人ホームとデイケアサービス機能を備えた施設で、2つの施設を運営されている企業です。
日々のバイタル記録を中心とした現場業務の記録と仕事の仕方を改善した事例です。
実際に施設長や事務長も交えた取材記事が、krewシリーズ提供元のグレープシティさんから上がっているので興味ある方はこちらをご覧ください。
さて、こちらkintoneの導入に至ってはいくつかポイントがありました。
- 介護施設へのkrewSheetの導入
- ポータル上でのアイコン表示
- スペースを使った階層構造
- 「一覧」をそれぞれ仮装的にアプリに見立てて運用
など、いくつかの工夫を散りばめたケースでしたが、もちろんノンプログラミング。
しかし、これらのすべてのベースになる、最も大事にしたこと。
それは、現場で使う人の時間軸に合っているか?
介護施設が生み出す価値というのは入居者や利用者様へ提供するサービスの質や量を高めることです。
しかし一方で介護保険の請求や記録を残す義務などもあり”紙”との日々闘う毎日だったといいます。
紙の管理、情報の蓄積はもちろん大切な仕事であるけれども、先に述べたど真ん中の仕事ではない。
ほがらか苑の上長の2人は、kintoneをきっかけとした業務改善の目的を
”利用者とのふれあう時間を増やす ”にしたのです。
なので、まずはkintoneで裏方業務のバイタルチェック記録や介護員や看護員のメモ、夜勤者への申し送りなど様々な二度手間作業を撲滅させようと考えました。
まずは、時間と余裕を生み出すことが先。
そのためのkintoneであるならば現場の作業負担はむしろ少なくさせなければいけません。
積極的に諦める勇気
狙いがクリアになっていたのでアプリの制作もとんとん拍子に進んでいきました。
まずはkintoneアプリ「利用者マスタ」を作った後、日々残すバイタル情報や介護看護記録などが記載できるkintoneアプリ「デイリー実行表」の制作に着手していったのです。
法的に残さなければいけないもの以外はひとまず割り切って進めました。
余談ですが、この判断が進めるスピードを高めたと思っています。ディスカッションしながら作っていくとあれやこれやと寄り道したくなるものです。
より良いものを提供したいと思う私でもその誘惑に襲われることは多々ありますが、マネージャーの2人は違います。私が怖くなるくらい、どんどん捨てていく!今までの紙の帳票で記録していたものでも「これ、何のためにあったん?いらねんじゃね。」というふうにあっさり、バッサリ。
ホント、諦める勇気も大事。私が教わりました。
krew Sheetを最初から入れるのはマストだと思った。
話を戻します。
アプリを制作しながら専ら私が考え続けていたのは、実際に使うシーンでした。
アプリの制作と同時に実際にどう使っていくのか考えるのは本当に重要です。
一度、施設訪問させていただき、そこではたらく数名の方とご挨拶させていただいていましたので、雰囲気は掴んでいました。
当然、決してパソコンやタブレットに馴染んでいる方ではありません。
そんな方でも混乱なく使うにはどうしたらいいかを考えていましたが、標準画面では無理だなというのは確信していました。
- フィールド多すぎて目的のフィールドを探すまでに嫌になりそう。
- アプリ探すところから保存するまでクリック数がめちゃくちゃ多くなる。
- 一覧の切り替えはすごく難しいだろう。
そのまま使うにはハードルが高いのです。
なのでこの逆を目指す。
- どこに入力すればいいか、わかりやすい。
- どのアプリを使えばいいか、簡単に理解できる。
- クリック数が少ない。
- そもそも一覧を切り替えさせない構造にする。
これらを満たす大きな力になったのは、グレープシティさんの「krewSheet」とTISさんの「一覧レコードコピー」プラグインの併用技でした。
krewSheetの一覧から入力する操作は、クリックの数を極端に減らせます。
TISさんの一覧レコードコピープラグインは数十名の利用者データをデイリー実行表に一括コピーするのをワンクリックで完了させてくれます。
用途に応じて、一覧を作り分けること(+krewSheetを併用)でフィールドを探す面倒さから解放されます。
そして、使い方です。座って使うのか、立って使うのか。この辺も考えておいた方が絶対いいですね。
ここから先の具体的なお話はキンスキ松井さんが記事にしてくださっていますので、そちらをご覧になってくださいませ。
業務改善に可能性を!では、またお会いしましょう!